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岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 臨床遺伝子医療学のWebサイトです。

教授挨拶
Professor Hirasawa

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教授 平沢晃

2022(令和4)年 年頭挨拶

当講座のホームページを訪れていただきありがとうございます。

昨年日本人として忘れてはならない東日本大震災から10年目に、復興をテーマにした東京オリンピック・パラリンピックが開催され、世界中の人々に数々の思い出を残してくれました。個人的には香川県立中央病院で私と外来を一緒に担当している助産師・がんゲノム医療コーディネータの阿部知里さんが車いすフェンシングの日本代表として活躍されたことが印象的でした。阿部さんは「車いすも、眼鏡を使うのも同じようなもの」といつもお話しになりますが、これは遺伝医療の考え方そのものだと思っています。

昨年は臨床遺伝子診療科の診療体制がさらに充実しました。2018年9月の外来開設時に診療科内に遺伝カウンセリング外来(現 遺伝外来)とがんゲノム医療外来の2外来を設置しましたが、2020年に遺伝外来の中に遺伝性大腸癌外来を設置したのを皮切りに、複数の診療科のスタッフに診療に加わってもらい専門外来を設立してきました。2021年は遺伝性難聴外来、遺伝性骨・軟部腫瘍外来、周産期遺伝外来、小児遺伝外来など、各診療科のエキスパートに助けて頂いながら開設しました。これからもgenotypeからphonotype、予防から治療、本人から血縁者まで、切れ目なく対応可能な診療体制を目指します。

一昨年度から始まった医学部医学科のカリキュラムのゲノム医療6時間(3年生)、行動科学3時間(2年生)に加えて、今年からは全学教養教育科目として「ゲノム医療入門」講義、計16時間が始まります。本来、遺伝や病気に関する話は診察室のみでするのではなく、国民が自分自身のものとして、お茶の間や居酒屋で普通に話すことができる社会を目指したいと考えています。その意味でも教養課程でゲノム医療の授業を担当するのを非常に楽しみにしています。

2019年に岡山大学病院単施設で立ち上げた中央西日本遺伝性腫瘍コホート研究は、現在は北海道から九州まで全国32施設で、定期的に遺伝性腫瘍のエキスパートパネルを開催して、皆で遺伝性腫瘍について取り組んでいます。

岡山大学病院が立地している現在の岡山市北区に江戸時代に産まれた緒方洪庵は、牛痘種痘の普及に尽力し幕末に海外から持ち込まれて大流行したコレラの治療法の確立に取り組みました。我々日本人は明治維新以前からから予防医療を導入することで、世界に冠たる衛生環境と医療体制を勝ち取ってきました。今コロナウイルスの拡大により再び予防医療が注目されています。そしてわが国は数年後を目途に全ゲノム解析を診療に導入することを国策として決定しました。我々は遺伝情報、ゲノム情報を活用する事で、人々の健康・福祉に役立てることを目指していますが、そのためには医療者も国民も、ゲノム情報に基づいた予防介入を受け入れるための知識や考え方を持ち合わせることが大事です。我々のスタッフは自発的にHPの作成や、市民公開講座の話を企画してくれており、大変心強く思っています。

来年2023年は、2013年(平成25年) 4月の講座開講から10周年になります。150年以上の歴史をもつ岡山大学医学部の中で最も新しい講座です。若さや柔軟さを大事にしつつ、人々の健康・福祉に貢献できる人材育成を行っていきたいと考えております。

2022(令和4)年 元日

臨床遺伝子医療学 教授
平沢 晃