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教授挨拶
Professor Hirasawa

TOP 教授挨拶 2018(平成30)年 就任時挨拶

2018(平成30)年 就任時挨拶

安心できるゲノム医療を中央西日本から
―「チーム」で「シームレス」なゲノム医療の構築をめざしてー

平成30(2018)年6月より豊岡伸一前教授の後を受けて第2代目の教授を担当させていただくことになりました。当教室では最新のゲノム医療を中央西日本から提供するとともに、同分野の先端的な研究を先導し、多職種からなる優れた医療人の育成に力を注いでいます。

最近「ゲノム医療」という言葉が社会で広く認知されてきました。とくに、がんなどの治療に直結する分野では、ここ数年で国内外でゲノム医療の体制が急ピッチで確立されてきています。一方で遺伝医学のカバーする領域は非常に広く、疾患原因遺伝子の同定とそのマネージメント法の確立や、病気のなりやすさや薬の効き方などに関わる遺伝子バリアントの解明は「成果をだしつつ検証する」途上にあります。

岡山大学病院では平成30(2018)年9月に臨床遺伝子診療科が開設され、診療科内に「遺伝カウンセリング外来」と「がんゲノム医療外来」の2部門が設置されました。当講座は、診療部門としての臨床遺伝子診療科とともに、下記の3点を開設時の目標としました。

1.ゲノム情報に向き合うことで、人々に安心してもらえる遺伝医療を目指します
2.がんゲノム医療体制を整備することで、きめ細かいがん医療の構築に寄与します
3.岡大バイオバンクを基軸に中央西日本から世界の健康・福祉向上に貢献します
 さらに平成29年に改訂された医学教育モデル・コアカリキュラムでは遺伝医療に関する内容が充実されたため、本領域の教育の充実に対応する必要があります。当講座としても「体細胞バリアントと生殖細胞系列バリアント」、「本人と家系員」および「発症者と未発症者」などに対して、柔軟に対応可能な人材育成に尽力して参ります。

今後、ゲノム医療を臨床実装するにあたって、各診療科おけるエビデンスの集積や手技の向上のみならず、職種・診療科横断的な「シームレス」な取り組みが必要です。とくにがんゲノム医療では、治療に到達するまでの時間を最短化する必要があるため、機動力をともなった対応が要求されます。当講座は各診療科・部門の方々に協力して頂きながら、ゲノム医療の発展に貢献いたします。

最後に、遺伝情報は「自分のもの」ですが「自分だけのもの」ではありません。血縁者で共有することから、遺伝医療は究極の「地域医療」ともいえますが、その成果は「データシェアリング」などを通して人類で共有することで、次の医学の発展に直結する「国際医療」にもなります。地域を見つめて世界に羽ばたくことを目指す仲間を岡山大学はいつでも募集しています。